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50年を振り返って 2026年9月12日

「影」シリーズ、最後の一体

オリエント工業

「影」シリーズ、最後の一体

「影」シリーズ、最後の一体

「影」シリーズ、最後の一体。

「微笑」「面影」「影身」のヒットを経て、オリエント工業は大きな転機を迎えます。

ユーザーから寄せられた声と、それまでの製品開発で培われた経験。 そのすべてを結集して生み出されたのが、「影華」でした。

当時の販売価格:¥240,000

「微笑」「面影」「影身」のヒットによって、オリエント工業の名前は少しずつ業界で知られるようになっていきました。

マスコミに取り上げられる機会も増え、それに伴って注文も相次ぐようになります。 しかし、予想を上回る反響は、同時に新たな課題を生み出しました。

注文が集中したことで生産が追いつかなくなり、ついには最長3ヵ月半の予約待ちとなるケースも発生。 お客様からの期待が高まる一方で、それに応えきれない状況となっていきました。

人気が高まるほど、ものづくりの体制そのものを見直す必要があった。

この経験が、オリエント工業にとって次のステージへ進むきっかけとなりました。

生産を一旦ストップして、体制そのものを再構築

あまりの忙しさに会社はパンク寸前となり、「これ以上、お客様にご迷惑をおかけしてはいけない」。 そう判断したオリエント工業は、一旦すべての受注と製造をストップするという大きな決断をしました。

目指したのは、単純に生産量を増やすことではありません。 今後も安定して製品を届けられる、より完全な生産体制を確立することでした。

そのために、それまでの約3倍のスペースを持つ工場を新たに設立。 生産環境そのものを大きく見直しました。

さらに人員も増やし、素材や製造工程の開発を専門に行うスタッフ、アフターサービスを専門に担当するスタッフなど、それぞれの役割に応じた体制を整えていきました。

製品そのものを改良するだけではなく、素材開発、生産、そして購入後のサポートまで。 一つの製品を長く届けていくための仕組みを整えることも、オリエント工業のものづくりにとって重要な課題となっていたのです。

そして1990年、会社組織としての法人登記を経て、オリエント工業は新たなスタートを切ることとなりました。


「影」シリーズの集大成、「影華」

新たな生産体制が整い、満を持して発表されたのが、「影華」です。

「面影」「影身」と続いてきた“影”シリーズ。 その最後を飾る「影華」は、これまでの開発で得られた経験をもとに、シリーズの集大成として開発されました。

目指されたのは、単なる新モデルではありません。 より完成度の高い製品を実現するため、素材や内蔵骨格の部品はもちろん、製品の細かな部分まで徹底的に見直されました。

オリエント工業「影華」の全身写真
オリエント工業「影華」――“影”シリーズの集大成として誕生したモデル

関節と美しいボディライン、その両立へ

「影身」では腕や脚に関節を内蔵することで、より自由なポージングを実現しました。 一方で、関節を内蔵する構造には、身体の自然な曲線美を損ないやすいという課題もありました。

そこで「影華」では、関節の機能性と身体の美しいラインを両立させることにも重点が置かれました。

自由に動かせることだけを追求するのではなく、動かしていない状態でも美しく見えること。 その両方を高いレベルで実現するため、内部構造や各部の設計が見直されていきました。


素材から細部まで、徹底的に見直された設計

「影華」の改良は、目に見える部分だけにとどまりませんでした。

表皮素材にはラテックスを使用し、その素材自体を改良することで、より安定した品質を保つことを目指しました。

また、内蔵骨格についても各部の部品を見直し、長く使用することを想定した構造へと改良。 手足の結合部分については、破損を防ぐために特殊金具を採用しました。

こうした改良は、一見すると小さな変更に見えるかもしれません。 しかし、製品を実際に使用するユーザーにとっては、日々の扱いやすさや安心感につながる重要な部分です。

素材、骨格、接合部分、そして身体全体のバランス。 「影華」では、製品を構成する一つひとつの要素を改めて見直すことで、シリーズの集大成にふさわしい完成度を目指しました。

当時のオリエント工業「影華」発売記事
当時の「影華」に関する発売記事

使用許容体重も120kgから145kgへ

内部構造の改良によって、使用許容体重も大きく向上しました。

「影身」では120kgだった使用許容体重が、「影華」では145kgまで向上

より高い耐久性を実現するための内部構造の見直しが、具体的な数値としても表れています。

当時のオリエント工業「影華」に関する発売記事
「影華」の発売を伝える当時の記事

「影華」で完結した“影”シリーズ

こうして誕生した「影華」は、「微笑」から始まり、「面影」「影身」と進化してきたオリエント工業の製品開発を、一つの形として完成させたモデルとなりました。

ユーザーの声を受けて関節を取り入れた「影身」。 その一方で生まれた課題にも向き合い、身体の曲線美、素材の安定性、内部構造、接合部分などを改良した「影華」。

そこには、ひとつの製品を完成させて終わりにするのではなく、実際に製品を使用する人の声や、開発の中で見つかった課題を次の製品へとつなげていく姿勢がありました。

「影華」は、“影”シリーズの最後を飾ると同時に、その集大成でもありました。

生産体制を一から整え、素材や内蔵骨格を見直し、細部まで改良を重ねる。 そして、関節による自由なポージングと美しいボディラインの両立を目指す。

「影華」を最終モデルとして、“影”シリーズはここで開発を終了しました。

「微笑」から始まった挑戦は、「面影」「影身」を経て「影華」へ。 その歩みは、オリエント工業がユーザーの声と向き合いながら、より良い製品を追求してきた歴史そのものだったのです。

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