1977年。
オリエント工業の歴史は、1体のラブドールから始まりました。
1977年に発売された「微笑」は、オリエント工業にとって記念すべき第1号製品です。
発売当時価格:¥38,000
まだ「ラブドール」という言葉も一般的ではなかった時代。人形型の製品に求められていたのは、単に人の姿を再現することだけではありませんでした。
「もっと長く使えるものを」「より自然で魅力的な姿に」というユーザーの声に向き合いながら、素材や構造にさまざまな工夫が重ねられました。

「微笑」が生まれた背景
「微笑」は、当時のユーザーから寄せられていた意見を参考に開発されました。
当時のダッチワイフには、使用を重ねることで傷みやすい、耐久性に不安があるといった課題がありました。また、実用品としての機能だけでなく、所有する人が愛着を持てるような外見的な魅力も求められていました。
そこで「微笑」の開発では、素材の選択から身体の各部の構造まで、当時としてはさまざまな試みが取り入れられています。
ユーザーの声を製品開発へ反映する。
この考え方は、オリエント工業のものづくりを語るうえで重要なポイントのひとつです。
当時としては画期的だった素材への工夫
「微笑」の特徴のひとつが、身体の部位によって異なる素材を使い分けていたことです。
顔と胸にはソフトビニールを採用し、適度な弾力を持たせながら耐久性の向上を目指しました。
さらに腰の部分には軟質ウレタンを使用。身体の構造を支える部分にも工夫を加えることで、従来の製品が抱えていた課題の改善に取り組みました。
現在のラブドールでは、より高度な素材や製造技術が用いられています。しかし、身体の質感や耐久性を高めるために素材そのものを研究し、部位ごとに適した構造を考えるという発想は、すでにこの最初の製品から始まっていたのです。

「微笑」が残した、次なる課題
もちろん、1977年当時の技術ですべての課題を解決できたわけではありません。
顔・胸・腰にはソフトビニールや軟質ウレタンが使われていた一方で、手足などの部分には空気式のビニール構造が採用されていました。
そのため、使用を続ける中で空気漏れが発生する可能性があり、耐久性という点ではまだ改善の余地が残されていました。
しかし、こうした課題は決して無駄なものではありませんでした。実際に製品が使われ、ユーザーから声が寄せられたからこそ、次に何を改善すべきなのかが明確になっていったからです。
「微笑」から次の製品へ
空気漏れをなくすこと。
さらに耐久性を高めること。
そして、より魅力的な外観を実現し、ユーザーの満足度を高めること。
「微笑」の開発と販売を通じて見えてきたこれらの課題は、その後の製品開発へと引き継がれていきました。
1977年に生まれた「微笑」は、完成されたゴールではありませんでした。
それは、ユーザーの声をもとに新しい製品を生み出し、実際に使われた製品からさらに課題を見つけ、次の技術へつなげていく――オリエント工業のものづくりの出発点だったのです。
ラブドールの歴史は、ここから始まった
現在では、素材や内部構造、造形技術など、ラブドールを取り巻く技術は大きく進化しています。
その長い歴史を振り返ったとき、1977年の「微笑」は、単なる最初の製品という以上の意味を持っています。
ユーザーが求めるものに耳を傾け、当時可能だった技術を組み合わせ、試行錯誤を重ねながら製品を形にする。
その最初の一歩が「微笑」でした。
まさにここから、オリエント工業のラブドールづくりの歴史が始まったのです。









